アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。
花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。
アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に先進国やアレルギーを起こしやすい人に多くみられます。

乳児では、赤い発疹が、顔面、頭皮、おむつで覆われる部分、手、腕、足、脚にできる傾向があります。 小児や成人の場合、発疹が1カ所だけ、または数カ所にできる傾向があり、手、上腕部、肘の内側、膝の裏によく現れます。
診断は、発疹の外観と患者の家族歴に基づいて下されます。

治療としては、皮膚を潤った状態に保つこと、コルチコステロイドを皮膚に塗ること、ときに他の対策が行われます。アトピー性皮膚炎は皮膚の病気として最も一般的なものの1つで、特に都市部や先進国に多く、先進国では小児や青年の約20%と成人の1~3%が罹患しています。

この病気の患者の大半は5歳までに発症し、多くの場合、1歳未満で発症します。 小児期に生じたアトピー性皮膚炎はしばしば成人期までに消失したり、大幅に軽くなったりします。

アトピー性皮膚炎の症状

早期には、乳児の場合、じくじくしてかさぶたを伴う赤い発疹が顔面に生じ、それが首、頭皮、手、腕、足、脚に広がります。体の広い範囲に生じることもあります。急性期は1~2カ月続きます。

慢性期には、小児でも成人でも、発疹が1カ所のみ、または数カ所に繰り返しできることが多く、特に、手、上腕部、肘の内側、膝の裏によく現れます。
発疹の色、強さ、部位は様々ですが、常にかゆみを伴います。

年長の小児と成人では、強いかゆみが主な症状です。 かゆみはかかずにはいられないほどひどいことが多く、「かゆいからかく、かくとさらにかゆくなる」という悪循環を引き起こし、症状を悪化させます。かき続けることで皮膚が厚くなります。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の原因は分かっていませんが、遺伝子が関わっており、喘息、花粉症、食物アレルギーとともに、しばしば家系内に遺伝します。
これらの病気とアトピー性皮膚炎の関連性は今のところまだはっきり分かっていません。その理由は、アトピー性皮膚炎は特定の物質に対するアレルギーではないためです。

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は多数あります。
例えば精神的ストレス、気温や湿度の変化、特定の空気中の粒子(チリダニ、カビ、動物のフケなど)、皮膚細菌感染症、一部の化粧品、刺激を与える衣類との接触(特にウール製品)などがあります。 乳児では、食物アレルギーによってアトピー性皮膚炎が誘発されることがあります。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療にはお薬による治療と光線治療を並行して、当新宿皮膚と心の診療所では行っています。

お薬による治療

外用薬(塗り薬)

ステロイド外用薬
「ステロイド外用薬は怖い」と思われて中途半端に使うとかえって症状を悪化させたり長引かせたりすることがあります。処方されたステロイド外用薬は、指示通りに、必要な量を必要な期間、必要な部位に使い続けることが大切です。

内服薬(飲み薬)

抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬
皮膚をかくと皮膚が傷つき症状が悪化するため、かゆみ止めとして、また症状を悪化させないために飲み薬を処方します。これらの飲み薬は、鼻炎、花粉症、じんましんなどの治療にもよく使われるものです。

保湿剤

皮膚が乾燥することにより症状が悪化してしまったり、患部が治りにくくなったりするため、保湿剤でうるおいを保つことはアトピー性皮膚炎の治療において非常に重要です。水分やセラミドを補うもの、油分で皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐものなど、いくつかのタイプがあります。また保湿剤の形状もクリーム、ローション、フォームタイプなどが種類があり、保湿効果や使用感が異なります。実際の塗り心地、塗りやすさなど含め、患者さまのお好みや症状に合わせて処方します。

光線療法

当院では広範囲に光線を照射する治療器と局所的に光線を照射する治療器の2種類の機器を使い分けることにより効果的な治療を行っています。
患者さまの症状や希望に合わせて、様々な治療方法を組み合わせたオーダーメイドの治療を行っています。白斑は見つけたら放置しないでください。
早期発見、早期治療が、より少ない回数での治療が可能となります。

当院では波長311nmのナローバンドUVB(全身に広範囲に照射が可能なもの)と波長308nmのエキシマライト(ターゲット型で、白斑部分にだけピンポイントで治療できるもの)を設備しております。
白斑の範囲、特性、状態を考慮し、ナローバンドUVB『デルマレイα』療法とエキシマライト『VTRAC(ヴイトラック)』の2つを組み合わせることで効果が期待できます。

ナローバンドUVB「デルマレイα」
エキシマ紫外線療法「VTRAC(ヴィトラック)」
エキシマ紫外線療法「VTRAC(ヴィトラック)」

『デルマレイα』

当院では光線治療器として、国産のナローバンドUVB治療器である『デルマレイα』を導入しております。
小型であるが高出力の照射により短時間で有効な治療効果が期待されます。
『デルマレイα』は紫外線の一種であるUVB(波長が290~320nm)のなかで治療効果が期待できる特定の波長(ピーク波長 311~313nm)を照射するものです。つまりUVBから有害な波長の光線を取り除き、治療が期待できる波長の光のみを照射することにより適切な治療を目的に開発された光線治療器です。

『VTRAC(ヴイトラック)』は小範囲の病変部や他の治療で残存した部位などに、局所的に照射できるターゲット型のエキシマライト治療器です。最小で2㎝×2㎝(4㎠)の範囲に対して照射可能となり健常部位への紫外線暴露を防ぎます。細かい病変や辺縁にも照射しやすい設計になっています。

尋常性白斑には、紫外線療法(長波または中波)の保険が適用されますので、1回あたり自己負担は1000円程度(3割負担)となります。

初回治療の流れ

1.ご説明

初めて治療を受けられる方には、医師及び看護師より治療についての注意点などをご説明します。

2.光線テスト照射 1回目

症状や肌の状態に合わせ、適切なエネルギーを設定し、テスト照射を行います。
翌日(24時間後)に来院いただき、適切な光線の強度を判定し肌の状態を診察します。(翌日来院難しい場合はご相談下さい)

※症状や肌の状態によっては、テスト照射を行わない場合もあります。
※また他院での光線治療中の方で光線管理手帳等お持ちでしたら、照射量の参考とさせていただきます。

3.光線テスト照射 2回目~

2回目以降は光線テストの結果を基に照射量を決めていきます。
効果に合わせて徐々に光線量を調節しながら治療を行っていきます。

アトピー性皮膚炎の治療のよくあるご質問

光線治療の費用はどのぐらいですか?

1回1,000円程度です(保険適用3割負担の場合)。初診・再診料などが別途かかります。

1回の治療時間はどれぐらいですか?

5分~20分程度です。(範囲による)
実際の照射時間は患者の症状により異なりますが、ナローバンドUVBはおおむね5分程度、エキシマライトは1回数秒で終了します。

どのぐらいの頻度での通院が必要ですか?

治療の初期は週に2~3回の頻度で通院頂くことをおすすめしますが、週1程度の通院をされている患者様もいらっしゃいますので、お気軽にご相談ください。
症状の改善により徐々に通院回数は減っていきます。
※効果の発現の早さには個人差があります。

痛みや副作用はありますか?

痛みは、ほぼありません。

光線治療の副作用は短期的なものとしては照射した部分の赤みや日焼け、ほてりなどが感じられる場合があります。長期的なものでは紫外線による皮膚がん等の発がん性やシミ・シワの光老化の可能性があります。
ただし従来の紫外線治療の一種である、UVAを用いるPUVA療法などと比べますと、上記で述べたいずれの症状も起きにくくなっています。
※副作用等ご心配なことは、医師もしくは看護師にお気軽にご相談ください。

顔にも症状が見られるのですが、治療できますか?

治療可能です。お顔に照射する場合は、目を保護するため専用のサングラスを着用できますのでご安心ください。

顔に照射した場合、洗顔やメイクは可能ですか?

光線照射直後から可能です。

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