前回は「無疱疹性帯状疱疹」についてお話ししましたが、今回はさらに一歩踏み込んで、心と体の密接な関係についてお伝えします。
私は皮膚科医であると同時に精神科医でもあります。日々患者様に向き合う中で、検査で異常が見つからない「痛み」の背景に、心の状態が深く関わっているケースを多く経験してきました。
「身体症状症」とは:その痛みは「気のせい」ではありません
医療の現場では、かつて「身体表現性障害」と呼ばれていた概念が、現在は「身体症状症」という診断名に整理されています。
慶応義塾大学病院(KOMPAS)の解説によると、これは以下のような状態を指します。
「痛みや倦怠感などの身体的な症状があるものの、身体検査や精密検査ではその症状を説明できるような異常が見つからない、あるいは異常があってもその程度に比べて症状が著しく強い」
つまり、あなたの感じているその「痛み」は決して気のせいではなく、脳が痛みを処理するプロセスに何らかの不具合が生じている医学的な状態なのです。
「仮面うつ病」というSOS
また、精神科医として注意深く診察しているのが「仮面うつ病」です。 これは、ゆううつ感や意欲低下といった「心の症状」が目立たず、代わりに頭痛、胃痛、そして神経痛のような「体の痛み」が仮面をかぶるように前面に出てくる状態です。
一見すると元気で活動的な方が、無意識にストレスを抑え込んだ結果、体が「痛み」という言葉を使ってSOSを発信しているのです。
皮膚科・精神科の両面からアプローチする意義
無疱疹性帯状疱疹だと思って抗ウイルス薬を飲んでも痛みがスッキリしない場合、それは神経の炎症だけでなく、心身の緊張からくる「身体症状症」の側面が併発している可能性があります。
私は、以下の2つのルートから同時に治療を行います。
皮膚科的アプローチ: ウイルスや神経の炎症に対する直接的な治療
精神科的アプローチ: 脳の過敏な痛み信号を抑えるお薬や、心理的なストレスを紐解くカウンセリング
院長からのメッセージ
「どこへ行っても原因がわからない」と言われる痛みほど、心細いものはありません。 新宿皮膚と心の診療所では、私が皮膚科と精神科の両方の視点から、あなたの症状を多角的に分析します。
痛みの原因が体にあるのか、心にあるのか、あるいはその両方なのか。それを一緒に見つけることが、回復への第一歩です。どうぞお一人で悩まず、一度あなたのお話をお聞かせください。
皮膚科、心療内科、精神科、内科、形成外科、アレルギー科
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